皆が活躍できる環境づくり
People with Disabilities
EYは多様性推進に積極的に取組んでおり、障がいのあるメンバーの採用を積極的に行っています。2021年には専門機関の協力を得ながら、精神・発達障がいのあるメンバーが働きやすい環境の整備と採用を本格的に開始しました。一人一人の個性を尊重し、EYでの経験がスペシャリストとして成長につながる環境づくりを目指しています。
EYの多様な能力の活用の取り組み
全てのEYメンバーの活躍と可能性を拓くために
ニューロダイバーシティーを尊重した職場環境をつくる取組み
EYではグローバル全体で多様性を尊重し、多様なメンバーがそれぞれの個性を生かし、お互いの違いを尊重し合う職場環境の構築を目指しています。特別な環境を用意するのではなく、すでに活用されているEYの働き方の柔軟性を、障がいのあるメンバーにも積極的に活用してもらい、一人ひとりが自分の障がいの状況や状態と働き方を調整できるようにすることで、スペシャリストとしての活躍の場と機会を増やし、将来のキャリアの可能性を広げていけるようにします。
働き方をバリアフリーにするための取り組み
障がい者にとって就労上の大きな課題は通勤の困難さと勤務時間。特に短時間勤務が可能である就労機会は一般事務職や単純作業であることが多く、高度な専門的スキルを持つ求職者のニーズに合うものが少ないというのが現状です。
また、近年こそ「ニューロダイバーシティー」、(人間の脳はもとより多様であり、それに由来する特性の違いを障がいではなく個々人の多様性として尊重し、社会でも活かしていこうという考え方)という考えが社会に浸透し、精神障がいや発達障がいに対する理解も徐々に広がってきましたが、まだ就労に関しては他の障がいに比べて、就職率や就労条件が低いというのが現状です
EYでは北米で10年ほど前から「ニューロダイバーシティー」に対する理解促進と就労の質の向上、人材の育成に取り組み、すでに管理職級や高度専門職として活躍する人材を輩出するまでになっています。こうした取り組みやノウハウをグローバルに展開し、EY Japanにおいては、EY Consultingが他の組織に先駆けて、ニューロダイバースな人材の積極的な採用と活躍支援を2021年から開始しました。
多様な人材が活躍できる職場づくりのために
コンサルティング人事部では採用時と入社後にそれぞれ以下のような取り組みを行っています。
採用時には、短時間で判断するのではなく、4日間のインターンシップを実施します。入社後には、まず発達障がいの就労支援の実績がある専門機関の支援を受け、個に応じた心身面や業務遂行のサポートを行っています。さらに「バディ制度」(新入社員に相談相手となる先輩社員を任命)を設けて、バディ同士が2週間に一度面談を行い、「ナナメの関係」の中でキャリアや業務について気軽に相談ができる環境にしています。
また、社内でニューロダイバーシティーに関する勉強会を複数回行い、障がいのあるメンバーがパーソナル・ストーリーを語ることで、障がいに関する社内の理解促進の活動も行っています。
このような取り組みが評価され、2021年12月、コンサルティング人事部は 「ACEアワード2021」※の「環境づくり部門 特別賞」を受賞しました。
コンサルティング人事部の取り組みはまだ始まったばかりです。法令遵守のためではなく、多様な才能を活かして、誰もが活躍できる環境を目指す中で、会社全体の既存の働き方についても問い直しを続けていくこと。 それこそが私たちEYの目指すパーパス「Building a better working world(より良い社会の構築を目指して)」につながるのではないでしょうか。
※「ACE」とは、「障がい者雇用の新しいモデル確立」を目指し、業種・業態を超え大手企業30数社が組織する一般社団法人
可能性にフォーカスすれば、新しい活躍が見えてくる
現場のメンバーたちが語る、インクルーシブなチームワークとは?
写真撮影を専門の業務として担当する中村(撮影チーム/人事部)と、中村の業務上のリーダーである多田(Brand, Marketing and Communications)に、普段の業務について、またそれぞれの立場から感じたことなど、話を伺いました。
まず、業務内容と、入社後の職場の印象を教えてください。
メインの業務は、コンサルティングメンバーが業務で使用するプロフィール写真の撮影です。それ以外にも採用サイトのEYSCの活動を知るや、外部のウェブサイトに掲載する写真の撮影なども一部で行っています。
入社前に、募集要項を見てEYのインクルーシブに対する姿勢に共感を持ちました。ただ、自分の障がいをオープンにして働くことには少し不安があったのは事実です。しかし、実際に入社してみると、障がいをほぼ意識することなく働けているというのが正直な印象です。自分ができること、可能性として伸ばしていけるところにフォーカスを当て、苦手なところはサポートしてもらいながら働けていることに驚きと安心感を得ています。
中村撮影写真例
プロフィール撮影
EYSCの活動を知る
では、業務の指導をしている多田さんはいかがですか?入社前後、コミュニケーションで心掛けたことはありますか。
障がいに関しては専門家のサポートがあるとわかっていたので、あえて意識することはありませんでした。実際に一緒に働いていると、得意なことと不得意なことがはっきりしているというくらいで、通常の新規採用者の受け入れと特に変わりはありません。
実際に働いてみた感想を教えてください。
カメラという専門分野での採用、ということにまず驚きました。というのも、障がい者雇用の多くは事務や清掃など、定型的な仕事だからです。また、専門職の採用は一般的にも実務経験が必須である場合がほとんどです。私の場合は実務経験がないにも関わらず、インターンシップを通して成長の可能性を認めてもらい、採用してもらえたことにとても感謝しています。現在は一つ一つの撮影にフィードバックをもらいながら学び、技術を磨いている状況です。経験を積み重ねて自分のスキルが向上していくこと、社会に関わりのある仕事をしていることに、大きな喜びを感じています。
連携して働く中では、どのような点に配慮や工夫をしているのでしょうか。
思い違いやミスを防ぐために、業務指示を口頭ではなく、テキストにしていただいています。テキストで可視化された指示は繰り返し確認ができるので安心して仕事ができます。
テキストの指示だとファイルや履歴が残せますし、そこから自分で業務を振り返ることができます。口頭で伝えるときによくある「察し」の学びではなく、積み重ねが学習の機会になり、それが実際の業務と密接につながっていく、そんな働き方ができていると思います。
また、私の障がいの特性として、複数のことが重なると情報が混濁する点がありますが、これに関しては発達障がいの就労支援の専門家から「いつ何をどこでどうやるのか」可視化したスケジュールを作っていただき管理しています。
今回のように可能性を伸ばして働いてもらうために、一緒に働くメンバーが意識すべきことは何でしょう。
私の経験を踏まえて3点お伝えします。
まず、「お互いを尊重し理解するために努力すること」です。これはどちらか一方ではなく、業務指示を受ける側、業務指示をする側、双方の努力が必要です。次いで、「チーム全体でお互いをフォローし合うこと」。最後に、多様性はグラデーションに例えられることがありますが、「受け入れる側にも対応のグラデーションが必要」ということです。対応を固定化せず柔軟に接することが重要です。
また、これらは障がいのある方に特別にすることではなく、日頃から職場で意識したほうがいいことだと考えています。リモートが多くコミュニケーションが限られる昨今の業務においても求められることではないでしょうか。
最後に、中村さんが企業に望むことは何でしょう。
「できないこと」より「できること」にフォーカスし、採用の際には可能性を含めて検討してほしいと思います。この障がいがあるから、こんな特性があるから、ということを雇用者側も障がい者本人も意識しがちですが、たとえば発達障がいの人には向かないと思われがちな職種でも、サポート体制が整えば活躍できるかもしれません。障がい者に対しても、専門職でチャレンジできる機会や個々人の可能性にフォーカスを当てた育成や雇用の機会が、今後は増えることを望んでいます。