EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社(EYSC)

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エネルギー
Energy

未来の鍵を握るエネルギー問題に、広い視野で取り組む

EY Japan エネルギー 非監査サービス・マーケッツリーダー EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社
パートナー
松崎 豊

対談参加者 パートナー酒井 康憲

私たちの生活に欠かすことのできないエネルギー。日本はエネルギー自給率が低く、安定供給への懸念が続いています。社会情勢の変化やパンデミック・紛争など、世界中が大きな局面を迎えている現在。省エネ、再生可能エネルギーの拡大、そして原子力発電所の稼働など多くの課題が山積する中、コンサルタントに求められていることとは。EYストラテジー・アンド・コンサルティングのエネルギーセクターの考え方、そして求める人材像について、松崎パートナーと酒井パートナーに伺いました。

カーボンニュートラルを目標とする現代日本の課題

世界が低炭素に向かい、日本政府も2050年に向けたカーボンニュートラルを宣言しています。現在におけるエネルギーセクターのトレンドについて、教えてください。

松崎

これまで電力業界も規制産業だったものが、他業界と同じように自由化が進み、消費者も選択肢を得ました。そういった業界の変化もありますが、現代の「エネルギー」そのものを俯瞰すると、さらなる転換期に来ていると言えるでしょう。今や世界中、誰一人として、エネルギーの恩恵を受けない人はいないですよね。電気がなければ、パソコンも、どんな技術も使えません。その一方で、社会の未来を持続可能なものにするため、カーボンニュートラルなどの取り組みを世界単位で考えなければいけないのが現代の課題です。そうした課題解決のために、デジタル化、電源の分散化など、業界では新たな取り組みも続々とはじまっています。極端な言い方をすれば、この先、世界が政策または対策のかじ取りを誤れば、100年後、200年後の地球に人類がいなくなってしまうかもしれない。それぐらい、大きな危機感に対してエネルギーのあり方が変わってきているというところが一番のトレンドだと思います。

酒井

地球温暖化が進み、世界的にも危機感が広がる中で、日本の電力逼迫はますます進み、価格も上がっています。電力をいかに作るかというところと、節約、つまり賢く使うという考え方が両方必要です。これらを両輪で考えていくことが、エネルギー業界のトレンドになっていると考えています。

気候の変化をはじめ、世界情勢の変化やパンデミックなど、近年、歴史に残るような出来事が日々起こっています。今、日本のエネルギー業界について、どのようなお考えを持っていますか。

松崎

昨今の社会情勢により、すでに天然ガスなどのエネルギーに大きな影響が見えはじめています。電力や原油の価格も上がり、これらのバリューチェーンがつながる中で、これは非常に大きなインパクトがあります。さらにコロナ禍では、人々の生活スタイルが変わりました。みんなリモートで働く中で、朝から晩までエアコンをつけて過ごすなど、エネルギーの使い方も変化しています。

酒井

近年、欧州はロシアからの天然ガスや石油の供給に依存する流れがあり、それによりドイツは脱原子力を進めていました。ところが、ESGの観点で温室効果ガスの削減についてもルールを作って主導していこうとするところへ、この社会情勢です。それを受け、エネルギー自給率の低い日本では再び原子力発電の見直しが進むなど、エネルギーに関する考え方も刻々と変化しています。世界情勢は日本のエネルギー政策に大きく関わってきますから、さらにこれから多くの議論が出てくるでしょう。

松崎

経済安全保障の視点からも、各国のエネルギー確保は最重要課題です。エネルギーの多くを輸入に頼る日本も、どのように安定供給していくのか。これはインダストリー、つまり個々の企業というよりも、国家のあり方や戦略が問われるところですね。再生可能エネルギーで大方を補うのが一番いい形ですが、まだまだ技術は発展途上です。多面的に考慮しながら現実解をどう出していくか、まさに試行錯誤の最中です。

多くの課題に対して、EYのエネルギーセクターとして提供できること、そして価値とは、どのようなものでしょうか。

酒井

日本の電力は、自由化されてまだ10年足らず。どうしても差別化要因を見いだしづらく、単なるコスト競争になっているところがあります。しかし、日本は欧米に比べて電力共有におけるDX化が遅れており、EYはグローバルなネットワークを生かしそれらを取り入れる支援をするなど、さまざまな手法を提供できます。

松崎

「2050年カーボンニュートラル」の方向性に異論を唱える人はいません。しかし、実際にそこへ向かう明確な道筋を持っている企業は、まだまだ少ない。Whatは理解していても、Howの部分がまだ見えない。これは世界的な課題で、日本も国として手探りの状態です。そのHowの部分をクライアントと一緒に考えながら、最適解を出していく。それが、EYの使命だと考えています。世の中の動きは、例えば3歩4歩先を行った提案すると誰もついてこない。実感や想像がつきづらいからです。しかし、コンサルタントがクライアントと同じ歩幅で歩いていても意味はありません。0.5歩、1歩先ぐらいを見ながら、現実的に導けるような付加価値を提供していきたい。コンセプチュアルな言葉ですが、私が大切にしている姿勢です。

エネルギーセクターとして、より良い社会を作るために何をすべきだとお考えでしょうか?

松崎

エネルギーに対して、一人ひとりが正しい知識を持ちながら、多様な考え方を発展させることが最も大切なことです。そのために私たちは考える材料となる情報発信をしていかなければいけません。すべてのものにトレードオフがあります。例えば、再生可能エネルギーにシフトすることを考える場合、どのくらいのコストが消費者にかかるか、デメリット部分もしっかりと情報提供をすること。メリット・デメリットを加味して、前へ進んでいく、という流れをEYが先導して進めていきたいと考えています。

酒井

チームでもよく話していますが、キーワードは「次世代」。エネルギーの問題は、今の世代の需要だけを賄おうと思えば簡単なことで、石炭の石油も、原子力も、後先を考えずに使えば、今の世代分は十分ある。しかし、未来に対して「より良い社会」は何かをきっちり考えていかなければ、エネルギー問題の解決にはなりません。EYは「Building a better working world ~より良い社会の構築を目指して」をパーパスとして掲げており、エネルギーについて自律し、次世代に対しても責任が果たせる、そんな社会の仕組みを考えていくことが、私たちの役割だと思います。

その時にしかできないことを楽しめる人。考える力を持っている人

これからエネルギーセクターで協働する人に、どのような考え方、スキルを求めていますか?

酒井

エネルギー問題は世界的な課題です。また、EYはグローバルにネットワークを有しているので、英語力のある方だと活躍の場が広がるでしょう。そして、デジタル、テクノロジーに強い人を求めています。先ほどもお話したように、日本のエネルギー業界では、DXがほとんど進んでいません。どこで電気が作られ、どこから送られているか、料金はどのように決められているか。具体的にはよくわからないまま、誰もが家庭で電気をたくさん使っています。近年はHEMS(Home Energy Management System)でエネルギーを見える化し、家電や電気設備を制御するための管理システムが知られるようになってきましたが、日本でも広がってくるにつれて、電力のマネージメントも複雑になりますし、ユーザーエクスペリエンスを上げていく必要があります。ERPのような従来の方法だけではなくて、クラウドベースで小刻みに、サードパーティへとつなげるなど、デジタルの知見を持ったコンサルティングが必要です。

松崎

協働したいのは、“考え続けることができる人”。考えることは、一種の癖だと思っています。大人になると、何か新しい習慣を身につけようと思っても、大体長続きしないものですが、若くて頭が柔軟なうちに、考える癖をつけることはコンサルタントを長く続ける秘訣だと思います。それがなぜ重要かというと、EYがクライアントに提供する価値にはさまざまな側面があり、決して方法は一つではないからです。今はインターネットで調べればなんでもすぐに答えのようなものが出てきますがそれに飛びつくのではなく、自分の目で見て、感じて、考えるということの重要性を、認識できている人と協働したいですね。また、私たちの仕事は、どんなプロジェクトでも、何の問題もなく終わることはほぼありません。だから、元気でへこたれない人。少し耳が痛いことを言われても、リセットして明日につなげていくレジリエンス力があると、なおいいですね。

EYには、さまざまなキャリアを持つメンバーもそろっていますね。

酒井

エネルギーセクターには、電力、ガス、化学系の会社など、エネルギー業界から転職してくる人もいます。大企業では、なかなか新規でプロジェクトをやってみたいと思っても、チャンスがめぐってこないこともあるでしょう。顧客の課題を聞いて、解決のソリューションを出したいけれども、自社製品に縛られるなど、しがらみがあったりする。コンサルティングは、そうした枠組みを飛び越えて、クライアントや世の中の課題解決に役立てることを自由に考えるチャンスがあると思います。

松崎

コンサルタント経験がない人も多く受け入れています。ほとんどが日本の企業からの転職ですから、新卒でコンサルタントとしてのトレーニングを受けた人たちに比べ、はじめはテクニカルな部分で行き詰まることもあるかもしれません。しかし一方で、中途採用の方々というのは、理想論だけでは日本企業の仕事は動かないことをよく知っている。企業の誰に、どのタイミングで、どんな風にアプローチすべきかという知恵を持っています。また、プロフェッショナルの中でも、ダイバーシティ、エクイティ&インクルーシブネス(DE&I)が非常に重要です。EYには、さまざまなバックグラウンドを持つ、多様性あふれるメンバーが在籍しています。それぞれの強みを生かしながら組み合わせることは、クライアントに対してとてもバリューとなり得る。そこは、私たちパートナーの腕の見せどころでもありますね。