金融サービス
Financial Services
「金融業界から社会平和を」という金融サービスのパーパスを実現するために。また金融機関がさらなる発展により、人々や企業の幸せをまもる社会インフラと深化していくこと支えるために。金融サービスはグローバルに広がるEYの金融プラクティスの日本組織として、金融業界に特化したあらゆる領域(戦略、イノベーション、オペレーション、リスク、テクノロジー、M&A)において深い知識と経験を有するメンバーを1つの組織に集結させました。
EYはグローバルファームとして、EMEIA(欧州、中東、インド、アフリカ)、Americas(北・中・南米)、Asia-Pacificの3エリアに「金融サービス」を加えた4つのエリアで構成されています。
金融領域ではエリアの壁をなくした1つのグローバルネットワークとなっており、この強みをいかしてクライアントのあらゆる課題に対してスピーディに対応することが可能です。
金融サービスは、金融機関のクライアントにもっとも信頼されるトランスフォーメーション・リーダーを目指しています。
ストラテジー・アンド・トランスフォーメーション
金融機関の経営アジェンダを支えるための、重要なケイパビリティーの中で、特に成長を牽引する「戦略、イノベーション、ビジネスモデル変革、オペレーション変革、M&A」を集約したチームです。100年に一度の変革期を迎えている金融業界の未来予想図を描き、構想・計画・実行のご支援をします。
M&A
金融業界、金融ビジネスにおけるM&A戦略の策定支援にはじまり、適切な取引相手の発掘、売買対象のデューディリジェンス、価値評価、条件交渉などを通じて、クライアントのインオーガニックな戦略をサポートします。
リスク
金融機関の経営の基盤となるガバナンス・リスク・コンプライアンスに対して、規制動向のフォローから実効的なガバナンスやコンプライアンスの態勢整備まで幅広く支援します。また、グローバルネットワーク、テクノロジーを活用し、国際金融規制などの複雑な課題やITの急速な進展によるリスクやデータガバナンスへの対応などを総合的にサポートします。
テクノロジー
テクノロジーの急激な進化をもっとも影響をうけるのが金融業界であり、今後の持続成長を実現するためには、既存および新興テクノロジーとのバランスの取れた活用が生き残りの鍵となります。金融サービスのテクノロジーチームは、EYのグローバルに広がるネットワークで構築したNext for Banking, Nexus for Insuranceという次世代金融デジタルプラットフォームを柱にしており、さらにデータアナリティクス、デジタル・エマージング・テクノロジーの領域と連携することで、金融機関の新たな未来図作成の支援をします。
リーダーメッセージ
イノベーションの鍵である「人間力」をもって金融機関のDX推進を切り開く
メガトレンドの急速な変化により競争が激化する金融業界。目指す方向と必要とされる人材について、代表して小川恵子パートナーが語ります。
DX推進に当たって日本の金融機関が直面する課題についてどう見ていますか?
日本は伝統的に印鑑、紙ベースの文書、手作業に依存する傾向があると言われますが、デジタル変革(DX)を進める上でこれらの領域が根本的な障壁となっていると考えられています。
人材の流動性が高い欧米では、ビジネスプロセスの標準化やマニュアルが発展し、担当者が交代しても業務が引き継がれるよう体制が整っています。この環境では、システム化の必要性も感じられやすく、それはさらなるオートメーションへの推進力になります。
一方で、日本のように人材の流動性が相対的に低い場合、職務の固定化や人に依存する業務プロセスが生まれがちで、専門の担当者以外には理解しにくい作業や情報が増加する傾向があります。
そうした日本固有の課題を乗り越えていくには、何が必要と考えますか。
データリテラシーや組織文化のギャップが、データガバナンスの推進にも影響していると考えられます。例えば、日本の伝統的な企業では、組織が部門ごとに分断されており、一部門で有効なデジタルデータが生成されても、他の部門と共有されにくい組織の壁もいまだに課題となっています。
これはまた、部門を越えた取り組みが実施しにくい原因ともなり、データの標準化や活用へのニーズが生まれにくい環境を作っています。加えて、トップがデジタルトランスフォーメーションを推進することを公言しても、現場までその思想を浸透させるのは容易ではありません。
したがって、トップダウンで企業文化の変革、目的意識の共有化、スムーズなコミュニケーションの確立が求められます。データガバナンスの成功には、組織内で動きを起こすことができる優秀なリーダーの存在が重要であり、多様な利害関係者とコミュニケーションを取る能力も必須です。
また、全員が有効なデータを活用できるようなデータリテラシーを育成することは、データガバナンスが形式的なものにならないようにするために不可欠です。これらの努力を地道に積み重ねることが重要です。
データガバナンスの設計において、それが経営の速度を阻害し、硬直した対応を引き起こす可能性があることを認識することが大切です。デジタル変革社会では、急速な変化が常であり、技術革新によりデータに対する期待はさらに高まる一方で、データ範囲の拡大に伴う整備コストや品質維持の負担も大きくなります。
したがって、企業はこのジレンマを管理しつつ、変化のスピードに即してデータ要求に応じ続ける必要があります。データガバナンスはDX時代の重要な経営戦略として、このジレンマをどうコントロールしながら最大限の効果を出すか、が鍵となるでしょう。
日本の金融機関のDX推進に当たってレグテックにどのような役割を期待していますか?
DX推進に当たってのカギのひとつとして、レグテックが注目を浴びていますが、レグテックが単に作業の効率化を越えてデジタル変革を牽引し、真のイノベーションを生み出すかどうか、さらにその拡張性への期待に焦点を当てるべきだと思います。
求められるのは単なる新発明(インベンション)ではなく社会に大きな変革をもたらすイノベーションです。社会を根底から変えることのできる革新をどのように促進するかは重要な問題です。
歴史を通じて、法律や規制を通じた社会秩序の維持は国や行政が司ってきましたが、将来的には人類の英知が生み出す新技術によって規制のあり方は変わっていくでしょう。国際的なガバナンスの必要性は増加し、オープンデータの利用を通じた自浄機能が期待されつつあります。
また、ルールメーカーとなる主体も変容するでしょう。個人情報が巨大企業によってコントロールされ、個人の監視が常態化する社会は望ましい状況ではありませんが、未来のテクノロジーがこれらの課題を解決する可能性があります。
テクノロジーの進化とともに、「人」が持つ役割がこれまで以上に重要になっていきますか?
現代社会は多くの複雑な重大な問題に直面しており、これらの課題を克服し進歩へと導くためには、さまざまなステークホルダーと連携し、継続的に試行錯誤する必要があります。こうした努力を通じて、社会の問題が一つずつ解決され、新たな価値の創造へと繋がっていくのです。
テクノロジーが限界なく可能性を広げる現在、何よりも大切なのは他者や社会の現在及び将来を大切にする「人間力」です。エゴイズムや独占ではなく、社会全体の利益を優先する考え方こそが重視されるべきです。
オープン社会が前進する中で、多くの問題を解決し利益を享受するためには、公平性と透明性を重んじ、差別や偏見のないフェアな取り組みが求められます。
デジタル化が進む未来においては、その革新が同時に人の「人間力」に関わる重要な事柄であり、これが課題を乗り越える鍵となるでしょう。
単なる効率化を目指してテクノロジーを活用するという狭い見方もできますが、それを超えるビジョンを持ち、より良い社会を構築するための変革を目指すべきです。新たな革新的な発想と絶え間ない取り組みは、イノベーションを推進し、未来を切り拓く大きな原動力となるでしょう。
金融業界の変革をリードすることで、全インダストリーの発展に寄与する。
規制緩和により銀行・証券の垣根がなくなり、新たなプレイヤーとの競争が激化している金融業界。オンライン決済やAIでのデータ解析など、技術革新を追い風にした「変革」が今まさに求められる中、コンサルタントはどのような役割を果たすべきでしょうか。戦略的M&Aの実行を多く手掛けてきた木下 智幸パートナーが、EYの金融セクターの考え方や、求める人材像について語ります。
はじめに、今、金融業界で起きているトピックについてお話いただけますか?
金融業界が置かれている状況は、これまで以上に厳しさを増していると感じています。デジタライゼーションの推進や、SDGsに代表される社会的な貢献など、非常にチャレンジングな取り組みが求められている中で、新型コロナウイルス感染症、ウクライナ情勢、エネルギー問題、インフレなどの影響です。市場での生き残りのため、金融機関はこれらへの対応を早急かつ強力に進めています。
金融業界は特殊な環境にあります。常に変化する世界基準の厳しい規制に準拠しなければなりませんし、経営的には景気の変動に直接左右されます。また、絶えず資金供給を続ける必要があり、社会的なインフラという側面も要求されながら、株主からは高い利益率を要求されていたりするわけです。市場に目を向けると、金融機関が行っている業務領域は非常に裾野が広く、各領域で厳しい競合状態にあると思います。
更に、銀行や証券会社といった垣根がなくなり、あらゆるプレイヤーが参入してきています。生き残っていくためには、存在意義を考え直す時期に来ていると思います。
加えて、規制緩和によって、競争は更に激化していくでしょう。顧客基盤を持つリテール系企業が決済事業を担い、AI事業を運営する企業が業務のアウトソーシング先になるなど、他業種からの参入がグローバルな規模で起こっています。
我々のコンサルティング力が試されている状況とも言えますね。
見方を変えれば、今置かれている状況は変革できる好機と言えます。
そう捉えると、先行きが非常に面白いインダストリーです。新型コロナウイルスの経験から変革しなければならないと自らアクションを起こした企業は、きっと成長するでしょう。
また、技術革新も追い風になるはずです。オンライン上での決済や事務処理などは一般的になりました。今後、データードリブンによる分析やアルゴリズムでの解析など、AIを活用した業務効率化が加速してゆくことは、金融業界にとって大きな意味があると思います。コンサルティングの領域で言えば、様々な業界におけるデジタライゼーションの推進を支援していますが、金融業界との親和性は高いと思います。
M&Aという切り口でも金融業界には変化がおきています。テクノロジーを活用した新サービスに取り組んでいるベンチャー企業やIT会社とのM&Aや、新型コロナウイルス感染症前に盛んであった海外企業とのM&Aも徐々に回復してきていますね。
一方で、デジタライゼーションが進んでいくと、新たなリスクに晒されていくことになります。全く意図しない第三者からハッキングによって攻撃され、重要情報の漏洩や改ざんが行われる可能性もあるので、リスクを回避するためのサポートも必要ですね。
このように大きな変革を求められているからこそ、我々コンサルタントにも大きなビジネスチャンスがあると考えています。たとえば、我々はクロスインダストリーに対してサービスを提供していますから、他業界の知見を金融業界に取り入れることもできますし、逆に金融業界で実現したサービスを他の業界に転用することも可能だと思います。
さて、EYの金融サービスセクターとしての“Building a better working world”とは何でしょうか?
金融という資金供給の仕組みは、今後もなくなることはないでしょう。ただし、それを提供する主体やサービスの形態は様変わりしていくはずです。我々が追求するべき“Building a better working world(より良い社会の構築を目指して)”は、コンサルティングの対象となるクライアントが、受益者であるカスタマーに対してより利便性や安全性が高いサービスを提供できるように、変革をサポートすることではないでしょうか。
我々のサポートにより、金融業界が社会に対して提供する価値も上がっていくはずです。金融業界は、あらゆる経済活動の基盤を担っています。つまり、我々が金融ビジネスを営むお客様をコンサルティングの力で支えることは、全インダストリーの発展に寄与することになる。それが社会における我々の存在意義だと私は思います。
では、どのような人材とのチーミングを期待していますか?
最近の傾向として、優秀な人材がコンサルティング業界を志望するケースが増えているという印象があります。多くが創造的な提案を行いたいという気概の持ち主であり、閉塞感の強い社会を打開し得る業界だからこそ注目していると思います。こうした傾向は、我々にとって大きなチャンスです。これまで提供されてきたもの以上に“高い付加価値を生み出したい人”にこそ、EYに来ていただきたいと期待しています。
さらに、グローバルを巻き込んだ“大きな変革の時代を一緒に楽しめる人”ですね。好奇心やチャレンジ精神が旺盛な人ほど、EYに向いていると思います。というのも、トライ・アンド・エラーを繰り返しながら変革をリードするにしても、その先にある世界に正解はまだありません。クライアントと一緒に苦難を乗り切り、“生み出したものが正解”になる。そんな時代ではないでしょうか。
最後に、EYで働く魅力について教えてください。
数あるコンサルティングファームの中で、EYで働く魅力は、人材の多様性と人を大切にする文化ではないでしょうか。各方面で活躍してきたプロフェッショナルが集結し、新しい血を入れながら絶えず進化し、また、人を「人財」とする姿勢、それがEYの企業文化であり、組織としての強みだと私は思います。
またEYにはグローバルレベルでFSO(Financial Services Office) という金融業界にサービスを提供するバーチャルな組織体があります。EYの一員として誰もが補完し合いながらクライアントの課題解決に挑む。そんな協力的な環境に身を置けることも魅力の一つだと思います。
個人としても大きく成長できる一方で、自身の成長を他者に還元できる素地がEYにはあります。“つながることで得られる強さ”を大事にしているコンサルティングファームにおいて、お互いに高め合い、成長を積み重ねていく。そして、苦難を乗り越え、信頼が生まれる。このことは、クライアントとの関係性にも当てはまります。そんな仕事のスタンスに共感できる人は、きっとEYで飛躍を遂げられるでしょう。