デジタル・イノベーション
Digital Innovation
デジタル変革に対応するのではなく、「創出する」側に転換
デジタル・イノベーション(DI)は、AI&データ(A&D)とデジタル・エンジニアリング(DE)という2つのユニットが統合し発足した組織です。AIやブロックチェーンといった次世代技術によって新しい付加価値を創出することを目指しており、EYのテクノロジーコンサルティングがマーケットでの存在価値を一層高めていくために、特に注力しているユニットです。前編では、パートナーのNaotoさんとDEユニットでDX案件をリードしてきたディレクターのShuheiさんにユニットのミッションや現在の取り組みを聞きました。
パートナーNaoto
ディレクターShuhei
積み上げ型の発想から踏み出したい
デジタル・イノベーション(DI)はどんなユニットでしょうか。
DIはクライアントが新しい価値を創出するためのDXを支援するユニットです。
企業の経営層の方々とお話をする中で、先行きが不透明な世の中においていかにして新しい価値を出していけばよいか、悩みに直面するケースが増えています。課題を解くだけでなく、新たな課題を設定することがわれわれコンサルタントに求められているのだと言えます。ですが世の中のテクノロジーコンサルティングファームが支援するのは既存業務の「効率化」に寄っており、企業の真の悩みに応えきれていないのが現状ではないかと考えています。
一昔前は、例えば銀行の統廃合やマイナンバー法など社会の大きな変革の中で、コンサルティングファームが目に見えないところで核となる役割を果たしていました。しかし現在は、メガテック企業が生み出したテクノロジーが社会のエコシステムを形成し、そこにアジャストするために支援するのがテクノロジーコンサルタントの役回りとなっているケースもあります。
メガテックのプラットフォームに乗っかって業務効率化を支援するところから一歩踏み出し、新しい価値を生み出すための支援をクライアントに訴求していくために、このユニットが発足しました。
テクノロジーによる社会革新の取り組みは米国と中国がリードしており、日本企業の経営者の多くが、今の状況に危機感を持っています。
日本企業が得意としてきた、前例に倣ってよりよいものを生み出すというやり方は、積み上げ方の発想がベースになっています。企業の経営層と将来のお話をすると、今のリソースを積み上げていった先にどういう未来があるのかという話になりやすい。一方海外のメガテックは実現したい世界が先にあり、そのために何をするのかという考え方です。
新しい技術があっという間に世の中の仕組みを変えてしまう社会では、積み上げ型の発想ではキャッチアップが難しい、何をやっていいのか分からないというのが多くの日本企業が抱える課題です。
DIはまさにこの部分をコンセプトの立案、コンセプトを具現化するための企画化、戦略策定からクライアントと一緒に考え、つくりあげていきたいです。
技術を掛け合わせクライアントの課題を発見
デジタル・イノベーション(DI)は、AI&データ(A&D)とデジタル・エンジニアリング(DE)という2つのユニットが統合し、2024年2月に発足しました。
私は2023年7月にEYストラテジー・アンド・コンサルティングに入社し、AI&データ(A&D)で生成AIによる価値創出のサービスを手掛けています。デジタル・エンジニアリング(DE)はブロックチェーン技術に強みを持っています。生成AIにしてもブロックチェーンにしても、1つの技術だけでは競争力を発揮できないことが多いので、シナジーを大きくするために統合しました。
DE出身のShuheiさんがお互いの良さを理解してどう掛け合わせるべきかを議論する会議をリードしています。
Shuheiさんは2021年にEYストラテジー・アンド・コンサルティングに入社しました。どんなプロジェクトに関わっているのでしょうか。
私は新卒で大手通信事業者に入社しました。当時はインターネット黎明(れいめい)期で、これからITが社会の基盤になっていくという時代感があって、日本を強くするならこの業界だろうと。その後、別の外資系コンサルティングファームに転職して、大規模なDXやITアウトソーシング案件を推進していたのですが、ITという自分の軸を強化しながら目的意識を共有できる人が集まる場所で働いたら楽しいだろうと考えるようになり、EYのパーパス(存在意義)に共感して参画しました。
入社後はブロックチェーンのプロジェクトを担当しています。EYは以前からグローバルでブロックチェーンに力を入れていて、市場で高い評価を誇っています。メタバースやNFTなどブロックチェーンを基盤としたWeb3技術は2年ほど前に大きなブームが来ました。今は生成AIの盛り上がりの陰で少し落ち着いているのですが、企業がどうこの技術をビジネスで活用していくのか、現実的な検討のステージに入っています。
企業戦略の中で新しい技術をどう使っていくのか、言い換えれば課題を発見して新たな価値を創出することが、DIのミッションです。
クライアントが今抱えている課題は、コンサルが発掘するまでもなくクライアント自身が把握しています。その仕事を獲得しようとするため、テクノロジーコンサルティングはレッドオーシャンになっているとも言えます。私たちは違った視点で勝負したい。
私は前職でも新しいテクノロジーの実装をリードしていたのですが、EYはグローバルでこの分野を推進しており、先進的なチャレンジを後押ししてくれる環境があります。
未知の世界を楽しむ好奇心
DIは積極的に人材を採用していますが、どんな人にジョインしてほしいですか。
向上心と好奇心にあふれた人です。ITの世界は新しい、よく分からない技術がどんどん出てきます。私は今生成AIのビジネスに取り組んでいますが、数年前には生成AIの「せ」の字もありませんでした。変化の激しい世界で勝負をしていくためには、高いアンテナを張り、自分が面白いなと思ったものをキャッチアップし、それを組織の力にしていくという繰り返しになると思っています。
前職の経験やスキルを再現する形で貢献するのももちろん大事ですが、それだけだとステップアップではなくて現状維持になってしまう。今まで経験してきたことの延長線にこだわらない仕事への姿勢が求められます
エンジニア出身の立場から言うと、コンサルタントに転職する際にマインドセットも変える必要があるのですが、エンジニア、コンサルタントを問わず「その道の達人」的な人に共通していることもあります。私がこれまで見てきた達人は皆さん技術が大好きなんです。ビジネスだからとか役割だからとか関係なしに、わくわくしながら新しい技術を取り入れていく。
このユニットは未来型ですから、やったことがないことをやってみたい、知らないことを掘っていきたいという好奇心、技術への探求心は価値を生み出す原動力になると思います。
これまで培ってきたスキルと経験だけで勝負したいというよりは、前例のない挑戦を前向きに捉え、新しい世界を知りたいという人が向いているのではないでしょうか。
もちろんプロフェッショナルとして何事もやり切る能力も重要です。仕事ですからね。でもどれか1つと言うなら、私は好奇心を挙げたいです。