EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社(EYSC)

ファイナンス
Finance

CFOからCVOへ。
企業のサステナブル成長に向け、
ファイナンス部門はCEOのビジネスパートナーへとシフトする。

ファイナンスリーダー
パートナー
田中 雅史

これまで企業のファイナンス部門(CFOおよび経理財務部門)は“財務の番人“としてどちらかというと守りの役割を任されてきました。ところが近年の社会変化に伴い、その役目が変わろうとしています。ファイナンスユニットのリーダーを務める田中雅史パートナーに、CFO組織の展望とEYのファイナンスコンサルティング部門が掲げるビジョン、それからユニットに求める人材像について伺いました。

近年のファイナンス周辺の潮流をどのように捉えているか教えてください。

昨今、世の中そのものの不確実性が高まっている中で、企業にはレジリエントな経営スタイルが求められており、また投資家からはSDGsに代表されるように、社会課題の解決とサステナビリティへの取り組みが要請されています。 ところが、これまでの日本企業のCFOは欧米のそれと異なり「経理・財務部門長」という立ち位置で、短期的な目線に主眼をおいて財務的なKPIに偏重した管理を長らく行ってきました。しかし、サステナビリティへの注目や企業価値経営の潮流により、従来の短期財務目線で効率化を追求する「守り」の役割だけでは今後の社会要請に追随しきれなくなると私たちは考えています。

加えて、多くの企業の経理・財務部門では、「2025年の崖」と呼ばれるベテランの経理人材が一斉に退職する時期が控えています。彼らが手塩にかけて構築・運用してきた経理システムのブラックボックス化や、ハンズオンで後進を教育できる人がいなくなってしまうということで、業務そのものを安定的に回していくためには、あまねくDXやシェアードサービス/アウトソーシングの活用を検討しなければなりません。

もう一つ、多くの企業のCFOが共通して話されるのが、優秀な若手の経理人材が今のCFO組織の役割に対して「退屈だ、今の環境から学ぶものは学びきった」と言って辞めてしまう傾向にあるという点です。事業会社の経理・財務部門でも人材の流動性が高まっていて、今後はさらに付加価値の高い役割へとシフトしていかないと人材をアトラクトすることが難しくなると考えられます。

「付加価値の高い役割へのシフト」ということですが、ユニットとしてどのような提案をしているのでしょうか?

EYは「Building a better working world(より良い社会の構築を目指して)」をグローバル共通のパーパスとして掲げ、社会を強く意識してビジネスを展開するファームです。そしてそのパーパスのためにはクライアント企業の長期的価値(Long-term value)の創出を重要視しています。

この観点で考えたときに、多くの日本企業のCFOはあくまで「経理・財務部門長」でしかなく、残念ながら “CEOやCOOの伴侶”にはまだなりきれてない印象を受けます。しかし前述の社会の潮流を踏まえると、これからのCFOは長期的かつ非財務的な価値をより重視していくべきであり、あるいは社会課題解決によるサステナブルな成長をドライブする役割を担うべきです。
長期的なクライアントの成長と価値創出のためには、既存事業をさらに盤石化していくことに加えて、新規事業領域をつくっていく「両利きの経営」が欠かせません。企業が新たな投資領域へと資金を回す原動力となるのが、これまでは「守り」の番人であったCFOだといえます。

私たちファイナンスユニットでは、「CFOからCVOへ」をコンセプトに掲げ、CFOの役割を価値創出に重きを置いた「Chief Value Officer=CVO」へとシフトしていくことを強く訴えています。
欧米企業に後れを取ること30年、ようやく日本企業も損益計算書偏重のKPI管理からバランスシート重視の経営へと意識が変わり始めており、既存事業の新陳代謝や、イノベーションを通じた新規事業創出といった事業ポートフォリオの最適化に目を向けるようになりました。その一端をファイナンスの側面でサポートするのが、CFOないしCVOが管轄する経理・財務部門となるように、クライアントへの働きかけを加速しています。

「CFOからCVOへ」、分かりやすいコンセプトですね。それをどのように実現していくかもう少し教えてください。

現状のファイナンス組織の業務負担を考えたときに、仕分けを切ったり、残高照合をしたり、決算を期日通りに完遂したりといった、いわば守りの業務が全体の半分弱を占めます。これらはもちろん企業財務にとって不可欠な領域ですので、必ず当該役割をこなさなければならない訳ですが、この分野における業務工数やコストを、抜本的なDX化や国内外へのシェアードサービス化やBPO活用などの変革ドライバーを駆使することで、大幅に圧縮できると考えています。その空いた分の人的リソースをCEOやCOOの意思決定参謀として、あるいは投資領域に資金を還流するイノベーションのアクセル役としての業務に充てていく。長期的な目線で事業ポートフォリオを最適化し、社会課題を起点に事業をコントロールする役割を増やしていくようCFOやその先にいらっしゃるCEOに提案していくのが私たちの役目です。

EYではトランスフォーメーションを進めるために、以下の7つのサービスオファリングを用意しています。クライアントの多様なアジェンダに沿った7つの領域において、高い専門性を発揮しながら包括的にサポートします。

  • ファイナンス・トランスフォーメーション戦略
  • アジャイルファイナンス(プロセス改善)
  • ファイナンシャルプランニング&アナリシス
  • 戦略トレジャリー・マネジメント
  • グローバルビジネスサービス
  • ファイナンスデジタルトランスフォーメーション
  • タレントトランスフォーメーション

では、求めている人材像についてお聞かせいただけますでしょうか。

EYは2桁成長の中で人員を増やしながら、付加価値のある領域を拡大し続けているファームです。ファイナンスユニットを見ても、1年前は50人だった組織が現在は100人となり、2桁成長を超えた3桁成長(100%以上の)を志して日々取り組んでいます。
そのような中で私たちは、EYが掲げているパーパスや長期的価値の創出、そしてここまで申し上げてきたような「CFOからCVOへ」というキーワードに共感していただけるような方、そして成熟の過程にあるユニットにおいて自らが組織を変えていくという気概を持っている方を求めています。

ユニットとして想定しているキャリアパスはありますか?

最終的なゴールはCEOやCOOのアジェンダであるビジネスそのもののサステナブルな成長に対して、ファイナンスの視点からサポートしていくことであり、つまりCFOに対してCVOへのシフトを提案するといった大局的な話ができるイメージですが、そのためにはファイナンスコンサルタントということで、7つのオファリングのケイパビリティを深めていかなければなりません。
ユニットでは全メンバーに対して、エッジを立てていきたい領域を“タグ付け“していて、狭くなりすぎないよう「プライマリー」と「セカンダリー」のタグを本人の意向で決めてもらっています。どの領域のスペシャリストか、あるいはどの領域を志しているのかを共通言語として認識できる仕組みです。 アサインメントはタグに極化させずに若手のうちから幅広く経験できるようにしていますが、決してジェネラリストを目指していただくのではなく、将来の専門領域を意識しながら日々活動してもらうことが狙いです。

競合他社がSAP等の大規模SI案件にシフトしている中で、EYはあくまでCFOのアジェンダに対するマネジメントコンサルティングにフォーカスし、それらを愚直にやっていこうというのがコアの方針です。最終的にはCEOやCOOのアジェンダであるビジネスそのもののサステナブルな成長に対して、ファイナンスの視点から大局的なサポートが可能な人材になっていただきたいと考えています。

そのための育成環境には非常に力を入れており、キャリアの中盤まではクライアントのあらゆるアジェンダに対して全方位的にきちんと打ち返せるよう、幅広いアサインメントを通して多様な知見・経験を積んでもらい、後半はオファリングで示した7つの領域のいずれかでスペシャリストを目指すというキャリアモデルを採用しています。

これまで述べてきたようなEYのファイナンスコンサルティングとしてのアイデンティティや育成方針に共感して下さるメンバーが多く参画してくれています。その大半は事業会社の経理・財務部門出身のコンサルティング未経験の方々です。同じ境遇の仲間が多くいる環境でそれぞれ横のつながりを持ちながら、ファイナンスユニットや各オファリングチーム、あるいは経験豊富なベテランコンサルタントからの手ほどきを受けられる育成環境を充実していますので、非常にクイックにコンサルタントとして立ち上がれる環境だと思います。

クライアント企業もようやく変革の必要性を本気で感じ始めているこの環境下で、EYのパーパスに共感し、自己実現のプラットフォームとして、EYのファイナンスユニットを選んでいただけると嬉しいです。

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