ファイナンス
Finance
ファイナンスストラテジー& タレントマネジメント
大手自動車部品メーカーにおけるファイナンス部門の人材育成
経験・知識を必要とするファイナンス組織を維持するために必要な人材を数・質の両面で確保、配置することが困難となる日系企業が非常に多くなっています。これは国内人口の少子高齢化という社会課題と就業意識の変化という環境変化を背景とした、ほとんどの日系企業が直面する課題です。
このような社会課題・マクロ環境への変化に対し、レジリエントな組織へと変革し、サステナブルな組織運営をいかに実現するか、というテーマで挑んだプロジェクトをご紹介します。
EYの体制とそれぞれの役割
ファイナンス部門独自の人材育成方針を定めるには、
- 経理・決算、財務、税務、IR、採算・原価管理、投資管理、事業ポートフォリオ管理等の広範囲なコア業務に関する知識
- グループ・グローバル本社機能、リージョナルHQ機能等の組織の機能・役割に関する知識
- 人材を引きつける一方で、組織が必要な人材ポートフォリオを実現する人材育成の在り方に関する知識
の全てを理解している必要があります。
クライアントの課題解決に可能なケイパビリティを有している点が私たちファイナンスユニットの特徴であり、ワンストップでサービスを提供しました。
クライアントに提供したEYならではの価値
1. 人材育成に関する意識改革
多くの日系企業と同様に年功序列や終身雇用を前提とした人材育成・人材配置を行う同社ですが、将来の人材育成の在り方を検討する上で、ファイナンス人材が何を求めているのか、まずはその点を理解する必要があります。
そこで、マクロ的な統計情報・外部サーベイ結果による昨今の就業意識の変化を理解に加え、同社ファイナンス部門に属する社員へアンケートを行うことで、同部門の社員の方々が抱える不安・不満を可視化し、自社が直面する課題を明確にしました。
2.ファイナンス人材を引き付ける育成・ローテーション方針と
組織として必要な経験・スキルを持った人材ポートフォリオの両立
離職やモチベーション低下を防ぐには人材育成方針、配置・ローテーション方針を定める必要があります。一方で、組織を維持・強化するには各部門が求める人材を計画的に輩出し続ける必要があります。通常、この2つは相反するものとなります。当プロジェクトでは、キャリアコースを定義することでファイナンス人材が自らキャリアをデザインできるようにしつつ、全てのポジションで得られる経験・スキルを可視化することで、ファイナンス部門都合による異動命令に対する納得性・説得力を確保しました。
プロジェクトにおける困難点
グローバル展開する同社では、200名を超えるファイナンス人材が活躍されています。事業規模の拡大に伴い、グローバルHQ機能と国内事業の統括機能の強化、および海外リージョンの支援が求められていました。これらを支える人材は複合的な経験・スキル、知識を有している必要があります。
これをひも解き、可視化していくことがチャレンジではありましたが、結果、グローバル経営がどのように運営されているのか、グローバル競争における経営課題は何か、を理解する機会ともなりました。