テクノロジー・ストラテジー&トランスフォーメーション
Technology Strategy & Transformation
AIやデジタルを活用した、こどもや家庭における社会課題解決の推進
近年、いじめ、虐待、不登校、ヤングケアラーなど、こどもや家庭に関する痛ましいニュースが後を絶たない状況であり、その件数も増加の傾向があります。国や地方公共団体においても、これらの社会課題を解決すべくさまざまな政策や施策を実行していますが、これまでのアナログな対応では量的にも質的にも十分に対応しきれていない状況です。
これらの状況を踏まえ、わが国ではデジタル庁やこども家庭庁を中心として、こどもに関するデータの活用により、未然に支援が必要な子どもたちを把握した上で、事態が重篤化する前に行政がプッシュ型支援を行うことで、このような社会課題を解決していこうとする「こどもデータ連携」事業を行っています。
「こどもデータ連携」の取組とは、行政や関係機関が保有するこどもや家庭に関するデータを連携・解析することにより、こどもや家庭における潜在的な困難(いじめ、虐待、不登校、ヤングケアラー)のリスクを捉えることで、事態が重篤化する前に行政やNPOが適切な声掛けや支援を届けられるようにする仕組みを社会実装していく取組です。
(出典:こどもデータ連携の取組の推進|こども家庭庁(https://www.cfa.go.jp/policies/kodomo-data)
私たちEYは、このような「こどもデータ連携」の取組の推進において、国や地方における調査研究やテクノロジー実証・検証を行っています。
EYの体制とそれぞれの役割
上記の各業務を推進するにあたって、EY内のさまざまなユニットとコラボレーションを行ってきました。
国の調査研究事例においては、主にテクノロジー・ストラテジー&トランスフォーメーション(TST)ユニットのメンバーや、個人情報保護・プライバシーの観点でリスクチームのサポートにより、ガイドライン素案の作成と、有識者の方々を交えた検討会の設置、運営を行いました。
地方での実証・検証事例においては、クライアントの課題解決のための業務設計、運用設計、効果試算、効果測定をTSTユニットメンバー、こどもAI見守りプラットフォームと既存システムとのデータ連携、ダッシュボードアプリケーションの構築をデジタル・エンジニアリングユニット、統計解析およびAIモデルの作成をデータサイエンスユニットにてそれぞれ担当しました。これらのユニットメンバー混成のプロジェクト体制により、ピークでは10名以上のメンバーでプロジェクトを推進してきました。
クライアントに提供したEYならではの価値
EYは、「Building a better working world ~より良い社会の構築を目指して」というパーパス(存在意義)を掲げており、本取組は、まさにそれをデジタルで実現するものでした。このパーパスを胸に持って社会課題解決に取り組むEYメンバーの熱い思いがクライアントに提供できた一番の価値であると考えています。
その他、本事業で提供できたEYならではの価値をご紹介します。
1.国内・海外の実績・ノウハウの活用
EYはこどもに関するデータ連携の取組について、海外(オーストラリアや英国等)での実証、実装を進めており、日本国内に活用できるソリューションやノウハウを持っている点が強みであるといえます。また、その実績を通じて、日本国内における当該分野の先行調査案件(内閣府、デジタル庁発注の調査研究案件)も複数受託した実績があり、この実績で培ったナレッジやノウハウが、EYの大きな価値となっています。
2.地域課題、AI・データサイエンスに精通した人材によるサポート
本案件は、こどもや家庭に関する社会課題はもとより、地方公共団体の児童福祉関連の事務事業、地域における社会課題に精通した人材による支援が不可欠です。EYは、地方公共団体向けの社会課題解決の経験、実績が豊富にあり、本事業を推進する上での大きなアドバンテージになっています。また、この課題を解決するためのデータ利活用、AI予測モデルの作成にあたっては、AIやデータサイエンスの知見や技術を有した専門家も必要不可欠です。EYはこのような異分野の専門人材同士のコラボレーションが進んでおり、クライアントのさまざまな課題に対応できる総合力がEYの価値として評価されています。
3.個人情報保護・プライバシーの専門家の知見
「こどもデータ連携」の取組を推進する中で、地方公共団体は、取り扱うこどもや家庭に関する機微なデータ、AIの判定によるプライバシー侵害などについて細心の注意をもって取り組まなければなりません。この点において、EYは、リスクチームに個人情報保護やプライバシーの専門家チームがあるため、必要に応じて彼らの知見を借りながら、個人情報保護やプライバシー侵害リスクへの対応など、情報保護に関するさまざまなアドバイスを行うことが可能です。AIやデジタル技術による攻めと、個人情報保護、プライバシー保護といった守りの両面からこの取組に対して総合的に支援・伴走することが可能な点がEYの大きな提供価値になります。