データサイエンス
Data Science
糖尿病合併症予測モデルの構築および特定保健指導への導入
製薬企業のメディカルアフェアーズ部門では、地域医療におけるニーズを把握し、ニーズに即したメディカル戦略を策定することが重要なテーマとなっていました。特に糖尿病合併症に関連する領域は健診結果に基づくリスクの定量化が進んでおらず、データドリブンな戦略策定が難しいことが課題でした。
本プロジェクトでは、個々の患者に対する糖尿病合併症のリスクを予測するモデルを構築し、その結果に基づいた保健指導支援用のレポートを作成しました。このレポートは、地方自治体に提供され、特定保健指導の対象者選定を効率化するだけでなく、既存の基準では見逃されがちな潜在的なリスク患者を発見する手助けをすることで、地域医療への貢献を目指しました。
EYの体制とそれぞれの役割
EYストラテジー・アンド・コンサルティング(以下、EYSC)のデータサイエンスチームは、統計・機械学習、計算機科学、経営工学、計量経済学などデータに基づいた意思決定を行うデータサイエンス関連分野における研究経験を持つメンバーで構成され、高度な分析を活用して課題解決を支援するチームです。統計学の知見を活用し、健康診断やレセプト(診療報酬明細書)のデータを用いて、個人ごとの糖尿病合併症リスクを予測するモデルを開発しました。
このモデル開発プロジェクトは、医療・医薬セクター(HSW)の持つ地域医療ニーズや疫学的専門的知見と、テクノロジー・ストラテジー&トランスフォーメーションチーム(TST)の持つ分析環境の構築や地方自治体との連携に関するノウハウを生かした協業によって実現しました。
このモデルを用いて、検査項目と合併症リスクの関連性や疾病リスクを確認できる帳票を作成し地方自治体に還元をしました。これにより、地方自治体の保険者や保健師による特定保健指導を効率化し、潜在患者の早期発見に貢献すると同時に、地域医療データ活用推進の支援をしました。
クライアントに提供したEYならではの価値
糖尿病合併症予測モデルを活用した帳票により、地方自治体の保健師は個々の糖尿病合併症リスクを定量的に把握し、保健指導の対象者選定を優先的に行うことが可能となりました。これにより、保健指導の効率化が実現し、限られたリソースを最大限に活用することができるようになりました。
また、現行の保健指導基準では指導対象外とされていた患者についても、予測モデルによりハイリスクな潜在患者を特定し、早期の介入が可能になりました。これにより、地域医療の質が向上し、糖尿病合併症の予防や管理がより効果的に行えるようになりました。
さらに、糖尿病合併症に対する地域医療への影響をデータで裏付けることで、より質の高い地域医療の推進をしています。EYSCのデータサイエンスチームが提供する高度な予測モデルは、保健指導の質を向上させるだけでなく、地域医療のデータ活用を推進する上で重要な役割を果たしています。