業界Sector
すでに在る問いを解くだけでなく、“自らが問いを生み出せる”コンサルタントを目指して
民間と行政、その両方からさまざまな社会課題に取り組む公共・社会インフラ(G&I)セクター。今回は、他社からEYに転職し、不動産や観光業界などに特化したリアルエステート・ホスピタリティ・コンストラクション(RHC)部門で活躍するマネージャー、Shinに話を聞きました。
Shin
“質の良い課題は、質の良い問いからしか生まれない”という気づき
EYへの転職を考えた背景について教えてください
私は、新卒で証券会社へ、その後、第二新卒で日系の総合コンサルティングファームに転職し、流通・小売業のクライアントを中心に、業務改革やシステム導入の仕事を長年担当してきました。その中で、コンサルタントの仕事は、“すでに在る問いを解くことで価値を生み出す”、もしくは“自らが問いを生み出し、それを解くことで価値を生み出す”のいずれかであることを学びました。さらに、これまで15年で、“質の良い課題は、質の良い問いからしか生まれない”ということにも気づきました。
これまでの私は、“すでに在る問いを解く側”にいました。「与えられた問いを解くだけではなく、クライアントがまだ気づいていない課題を発掘できるコンサルタントになりたい」「そのためには自らが問う側に回らなければならない」――直近3年ほど、そのようなことを漠然と考えていました。
しかし、前職で“問う側”に回るのは難しい側面がありました。また、同じ会社に長くいると自分のポジションも、求められる役割も、固まってきてしまいます。そのような状況の中、ちょうど40歳という節目を迎えるにあたり、思いきってキャリアチェンジすることを選択しました。
EYを選んだ決め手を教えてください
自分に足りないセールス面を養い、“問う側”に回るためにはどの組織がいいのか。また、どの領域で問いを生み出すのかを考えた時に、脳裏に浮かんだのは父のことでした。私の父は長年、不動産都市開発の研究職をやっています。どうせ転職するのであれば、父と同じ不動産領域で、問いを生み出せる仕事がしたいと考えるようになりました。ちょうどその頃、転職エージェントから「ぴったりの部署がある」と、現在所属する、不動産クライアントに携わるRHCチームを紹介していただき、入社を決めました。
民間と行政、その両方と仕事をできることが大きな魅力
入社してから、EYへの印象に変化はありましたか?
EYは、コンサルティング業界ではまだ新しい組織なので、どこかベンチャー的な部分があります。しかしながら、母体はグローバル。コンサルティングサービスライン以外にも、自分から他サービスラインにリーチしようと思えば、手の届く環境があります。前職は大規模ではなく、その規模内においては組織間の交流も活発でしたが、グローバルというような規模での機会はあまりありませんでしたので、自分自身の振る舞い次第で、いくらでも機会を作れるのは、私にとって嬉しい驚きでした。
入社後にチャレンジしたことを教えてください
やはり、私にとって経験が十分ではないセールス面、そして不動産という新しい領域でスキルを獲得していくこと自体が、私にとっては大きなチャレンジだと思っています。当然、わからない用語も出てきますし、頭をフル回転させてクライアントと会話しなければならない場面も多くあります。一朝一夕でどうにかなるものではありませんから、必死でキャッチアップするために必要な勉強をし続けるのみです。幸運にも私の周りにはサポートしてくれるメンバーがたくさんいます。そのおかげで頑張れている部分はありますね。
他部門とのコラボレーションについて教えてください
クライアントの課題を解決するためには、エキスパートの協力が必要です。社内にどんなエキスパートがいて、何ができるのかを把握しておく必要があります。そのため、頻繁に他のチームと最新の動向や情報を共有しています。私からクライアントの要望を伝えて意見交換をしたり、必要に応じて営業の場に一緒に出ていただくこともあります。
この1年の間に数十人のメンバーと仕事をしてきましたが、コンサルティング業界にありがちな高圧的な方は1人もおらず、みなさん協力的で仕事も進めやすいですね。
このセクターで働く魅力を教えてください
民間と行政、その両方と仕事ができることではないでしょうか。民間クライアントの課題を解決できたとしても、残念ながら社会への影響は限定的です。取り組みの中で、本当は社会的な仕組みそのものがこうだったら、と悔しく思うことが前職では多々ありました。
しかしながら、G&Iでは民間はもちろん、行政・官公庁へのパスもあります。やろうと思えばどちらの側面からでもアタックできる。それは、非常に大きな魅力だと思います。
このセクターで求められる資質について教えてください
当たり前ではありますが、まず求められるのはコミュニケーション能力です。G&Iの仕事は、自分で仕事をとってきて、現場を回して完結できるものではありません。クライアントの課題に対し、さまざまなエキスパートに協力を仰ぐことが多くあります。人の力を借りなければいけない仕事ですので、円滑な人間関係を構築していく力が求められます。
また、高くアンテナを張ることも大切です。クライアントとしっかり意思疎通ができなければ、せっかくの機会を逃してしまうことにもつながりかねません。“コンサルタントだから勉強しなければ”ではなく、能動的に学ぶ姿勢を持っていないと、ついていけなくなると思います。
民間と行政では、そこで働く方々のパーソナリティも当然違ってきます。同じ課題について話す時でも、その切り口や粒度、展開の仕方を変える必要があります。そこを理解し、うまくスイッチできる柔軟さもあるといいですね。
住まいを起点に様々な社会課題を解決していくことが、私にとってのBuilding a Better working world
ご自身にとってのパーパスBuilding a Better working world(より良い社会の構築を目指して)について教えてください
正直に言いますと、今探している最中です。しかし、不動産やハウスメーカーを扱うチームで仕事をしている以上、住まいに関するものが自分のテーマになっていくのだろうな、とは感じています。
例えば、少子高齢化という社会背景がある中で、戸建住宅需要が今後減り続けていくことは国交省の統計からも明らかです。一方で、空き地・空き家は増え続け、防災防犯の観点からも大きな問題になっています。また、ニュータウンとして開発されたものの定住者がつかず荒廃してしまったオールドニュータウンと呼ばれるエリアもあります。どれも、なんとかしたいという思いはあれど、民間だけで解決するのは難しいのが現状です。
そこに行政を巻き込み官民連携することができれば、大きな社会課題を住まいの起点から取り組んでいくことが可能になります。
そのような課題を解決し、さらに利益を生み出すことができたなら、それが私にとってのBuilding
a Better working worldになるのだと思っています。
今後の目標を教えてください。
“問う側に回りたい”という思いでEYに入社したからには、クライアントの課題を聞いて解くだけでは転職した意味がありません。
クライアントがまだ気づいていない課題を私が探し出し、クライアントに認識していただいた上で、それを解いていく。クライアントが持つ背景から、“このような課題もあるのでは”と推察し、自分起点の提案や課題解決をできるようになる。それは、私自身の目標であると同時に、組織から課せられたミッションでもあります。志を持ち続け、努力し続けることで、その目標を必ず達成したいと考えています。