ウェルビーイングWell-being
遠隔リモート勤務で開かれる
キャリアの道筋とウェルビーイング
大学卒業後、日系ITコンサルティングファームを経てEYストラテジー・アンド・コンサルティング(以下、EYSC)へ。前職でシステムグランドデザイン策定やシステム導入PMOなどを経験する中で、人事領域に関する幅広いコンサルティングサービスに惹かれて転職を決意。現在は山梨で暮らしながらフルリモートで業務をこなす。
家族の幸せと夫婦のキャリアの接点にある「リモートワーク」
──EYSCに転職されるとき、リモートワークの制度があることは知っていましたか?
前向きな姿勢があることは感じていましたが、具体的な制度については知りませんでした。転職活動を始めたのは3年半ほど前になりますが、そのときにはもう山梨に住むことが決まっていましたから、「リモート中心の働き方をしたい」と採用面接で率直に希望を伝えてみました。すると、「まったく問題ない」と即答してもらえて、むしろ驚いたくらいです。「他にもそういうメンバーは大勢いるし、あなたが特別なわけではない」と。組織風土として多様な働き方が根づいていることを知って、とても安心したのを覚えています。
採用選考を受けた他社ファームの場合、こちらのリモート希望に対して「不可能ではないが、プロジェクト次第」「週に1〜2日は出勤してほしい」などと返されることが多かった中で、EYの潔い対応は特に印象に残り、転職の決め手の1つになりました。
──リモートワークを選択された事情をお聞かせください。
私自身は前職まで東京で働いていて、転勤が多い妻とは離ればなれの生活が続いていました。ですが、将来的には子どもを授かりたいと話をしていましたし、妻の山梨への転勤が決まったとき、この機会に私のほうが在宅勤務に切り替えて、晴れて一緒に暮らすことができたならと思ったのです。コロナ禍で「リモート」が広がりつつある時期でもありました。
私の職業はコンサルタントでパソコンを使って仕事をする時間が長いため、フィールドワーク中心の妻に比べれば、働き方を変えられる可能性は大きいはずと考えました。多少のハンディを乗り越えれば、私も妻も好きな仕事を続けながら一緒に生活ができますし、幼い子どもの面倒も見られます。夫婦にとってのより良い選択、つまり「私たち」の幸せにつながる働き方が何かと考えたとき、おのずから答えは出ていました。
一日の働き方
08:00 連絡の確認・返信
メール・チャット等、夜に届いたものの確認と返信
08:30 家事・育児:離席
子供・自分の朝食の準備等
09:30 集中作業
自分のタスクの資料作成
11:00 Internalチームタッチポイント①
リーダーも含めたチームのタスク状況・資料の確認・ディスカッション
12:00 昼食:離席
月に1度オンラインでPJチーム外のメンバーとランチMtgを実施
14:00 クライアントミーティング
クライアントとの定例会議
16:00 Internalチームタッチポイント②
リーダーを除くチームメンバーで
クライアントMTG結果を踏まえた次のタスク確認と役割分担、資料のディスカッション
18:00 家事・育児:離席
犬の散歩・子供の面倒、寝かしつけ・家事等
21:00 (必要があれば)明日に向けた準備
メンバー作成資料の確認や資料作成の続き等
コミュニケーション重視の姿勢で仕事の基本に立ち返る
──現在のお仕事の内容と、具体的な働き方について教えてください。
「ピープルコンサルティング」という人事領域のサービスを提供するユニットに所属し、人事制度の設計や人事業務運用の構築、人材育成の体系づくり、組織変革に伴うチェンジマネジメントなどといったプロジェクトに参画しています。直近では、管理職向けの研修設計や、DX人材像の定義設計に取り組んでいるところです。
フルリモートで働いていますが、就業時間などの基本的な勤務体系や仕事の内容は通常出勤と比べて特に大きな違いはありません。朝は9時頃には仕事を始め、ミーティングや調査、報告など通常どおりの業務をこなし、しかるべき時間に退勤します。
EYにはもともと「EY Flex & Remote(EYフレリモ)」と呼ばれる制度があり、フレックスタイムとリモート勤務が定着していますので、柔軟な働き方は規定のこと。例えば、子どもの通院や保育園への送り迎えといった私的な事情による時間の調整も、在宅勤務であるかどうかにかかわらず、上司やメンバーと合意のうえでごく普通に行われています。時間の長さうんぬんではなく、質の高いアウトプットこそが大切ということだと思います。
ただ、リモートワークである以上、対面に比べて情報の伝達や収集、意思の疎通などに一定の制約が生じることは確かです。コンサルティングはそもそもコミュニケーションが重要な職業ですが、より一層そのことを意識して仕事に臨まなくてはなりません。
──具体的にはどのような工夫や努力をされていますか。
勤務時間中はプロジェクトのマネージャーやメンバーといつでも連絡が取り合える状態にしておくことが、まず基本。そのうえで毎日2回は必ず、タッチポイントとなるミーティングを行います。全員が共有するタスク管理表もありますので、各人の業務の進捗状況も随時確認し、齟齬(そご)や行き違いのないようにしています。
といっても、これらは通常勤務の人にも共通する習わしや仕組みであったりしますので、EY自体のカルチャーに、タッチポイント重視、コミュニケーション重視のベースがあってのことだと思います。
──リモートワークに伴う苦労や制約はそれほど大きくないと?
そうですね。でも、だからといって心地よさや便利さに甘んじてはいけないと思っています。実際、プロジェクトによっては出社が前提となるものもあり、そうした案件にはアサインされないわけですから、担うプロジェクトでは他のメンバー以上にパフォーマンスを発揮できるよう、積極的な姿勢を持って取り組んでいます。
また、在宅勤務であることが、お客さまへのサービスの質に影響したのでは元も子もありません。メールの文面1つにも細心の注意を払う、ミーティングの後に合意事項の確認を怠らない、懸念点があれば電話で直接話す、対面できるチャンスがあったら逃さない、などといった仕事の基本を徹底することも大切です。
EYのリベラルな組織風土に宿るフレキシブルな働き方
──出社が必要になることもあると思いますが、どのように調整していますか。
どうしても出社しなくてはならない、出社したいというタイミングは確かにあります。その場合は少なくとも2、3日前には家族に相談し、家事のやりくりなどの段取りをつけて最小限の影響で済むようにしています。
フルリモートが前提とはいえ、かたくなに出社を拒むような働き方はすべきでないと私自身は考えています。家族の理解を得ることは当然必要ですが、出社することでメンバーの人柄を知ることができる、直接の関わりが少ない上司と会話をする機会を得やすいなど、メリットが多くあると感じています。また、対面の機会も意識的につくることで、リモートでのコミュニケーションもうまくいくと考えています。そのため入社して間もないメンバーがプロジェクトに参加した際には、初めはできるだけ出社の機会を設けて、画面越しでは伝わりにくい仕事に対する姿勢や考え方について話すこともありました。特に必要性がなかったとしても、時にはオフィスに顔を出してランチを共にしたり、お酒を飲みに行ったりする時間を作っています。「出社しなくてもよい」働き方だからこそ、このようなコミュニケーションも大切にしていきたいです。
──入社して3年。今感じておられるEYの良さとは?
採用選考のとき、リモートワークが認められたことにも増して私の気持ちを強く捕らえたのは、面接に現れた方々の人柄の良さ、対話を通じて感じられた心地よさでした。私の受け答えに対して、「ここは良かったけど、こうしたほうがいいね」などと具体的なフィードバックがもらえたのはEYだけですし、興味あるテーマについての意見交換は雑談のような楽しさで、「ここで働く自分」の姿を容易に想像することができました。
そうしたささいなことにも宿る組織の風土、組織の体質が、働き方への柔軟な考え方、コミュニケーション重視の姿勢にも通じているのでしょう。