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消費財・小売流通
Consumer
「正義の味方」が巻き起こす、業界変革の旋風
常に何げない日常の中から「あんなことできたらいいな」「こんなものがあったらいいな」を発想し、すべての人々が豊かに暮らせる理想の世界の実現のために絶え間なく提案を続ける。この企業、この業界、この社会をもっとよくしたいと愚直に働く「正義の味方」、消費財・小売流通セクターコンサルタントの立ち位置を渋川リーダーが語ります。
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消費者の多様な価値観を見据え、ビジネスに変革を起こす
コンシューマー業界を対象にされていますが、どのようなお客さまがターゲットになりますか。
関連するマーケット全体を、コンシューマープロダクト(消費財系)とリテール(小売・流通系)の領域に大きく分けて対応しています。前者では、食品、飲料、調味料、化粧品、日用品といった製造業を中心としたお客さま、後者では、小売店や卸、コンビニエンスストア、スーパー、百貨店、ドラッグストア、外食などのお客さまが中心です
幅広い分野の多種多様な企業をカバーしていますね。ビジネスを取り巻く最近の事情はいかがでしょうか。
顧客も事業も多岐にわたるため一概には言えませんが、総体的には、人口減少に伴い縮小化していく国内市場において、売り上げ補填のために事業領域の幅を広げる、ターゲットを拡大する、海外市場に新境地を得るといった工夫を余儀なくされている状況です。それでも、かつてのように一気にトップラインが上がるような進展は期待できませんので、一方では業務効率化による利益率の増大にも知恵を絞らなくてはなりません。
そうした中でどのような方針でお客さまを支えていますか。
自分自身も消費者の一人である立場からすると、「モノ消費からコト消費へ」と言われるように買う側の価値観はどんどん変わっているのに、売る側の方法にはあまり変化が見られないように感じます。企業はもっと消費者のニーズに合った売り方、買い方を追求していくべきですし、その転換や変革をサポートするのがわれわれの任務だと思っています。
そのため、このセクターでは「世界中の多様な価値観を持つすべての消費者が、豊かで素晴らしい日常を持続的に過ごすことができる世界を実現する」ことを独自のパーパス(存在意義)に定め、次の3つの方針の下でコンサルティングサービスを提供しています。
1つ目に、旧態依然としたビジネスへのディストラクション(破壊)。単にモノを仕入れて売るのではなく、体験価値を提供する「コト売り」へと転換することもその一つです。それには製造・物流・小売の分断を解消し、コンシューマー業界として一体化することも必要でしょう。
2つ目に、オペレーショナル・エクセレンスの追求。業務管理・運用の効率化ですね。言葉を選ばずに申し上げれば、この業界では極めて非効率な慣習が至る所に散見されます。例えて言うなら、100人の営業担当職に100人の営業事務をあてがうような無駄は一刻も早く解消し、デジタルの力も駆使して競争優位性のある業務体制を築かなくてはなりません。
3つ目は、カスタマー・エクスペリエンス。顧客体験を飛躍的に高められるかどうかが勝負です。そのヒントは、消費者としての自分自身が今感じている不便の解決にある。例えば、着ている服を鏡のほうが替えてくれる試着室、買うのが恥ずかしい薬も人知れず求められるドラッグストア、自分の好みに合ったグッズを的確に選んでくれるコンビニ、真夜中に買い物ができるメタバース百貨店……。いろいろな発想ができますよね。
好奇心と遊び心を出発点に「できたらいいな」を体現する
自分のアイデアがお客さまの助けになり、業績が伸びるとしたら、これほどうれしいことはありません。
そうですね。お客さまもまだ気づいていないような課題を先取りして、「こうしましょう」と主体的に提案する姿勢が大切です。提案依頼書に基づいて答えを探すだけの仕事ではつまらない。普段の生活の中で自分が感じる「あんなこといいな、できたらいいな」の好奇心や、ちょっとした遊び心を大事にしてほしいと思います。われわれはコンサルタントであると同時に、お客さまにとってのお客さま、すなわち消費者でもあるのですから、率直な意見を気後れせずに発言できる立場にある。それが、この仕事の面白さの一つだと思います。
ただし、もちろん楽しいことばかりではありません。EYは世界4大プロフェッショナルファームの一角ですが、日本でのコンサルティングの歴史はまだ浅く、ここ数年で急激に成長してトップレベルに手が届きつつある状態になりました。それに伴い、求められる役割もまた高度化しています。この勢いの波に乗り、お客さまの中枢に近い部門やCxOクラスのキーパーソンとの接点が増え、これまで以上に難しい課題に取り組む案件も増えています。それに見合う苦労や覚悟は、当然のようにあるということです。
お客さまの社内における合意形成を支援することも、難しい役目の一つです。ある戦略についてトップマネジメントの理解が得られたとしても、号令一下で末端まで浸透するほど組織の意思統一は容易ではありません。各部門の異なる利害をいかに調整し、プロジェクトを遂行するか。お客さまとの関係によっては、社内事情に通じたわれわれの強みが生かせるチャンスでもあります。
コンサルタントとしての腕の見せどころですね。EYならではの強みはどんなところにありますか。
よく言われることですが、社内外に広がる多種多様な部門やエキスパートとの連携力が、やはり筆頭に挙げられると思います。われわれセクターの担当者は誰よりも詳しく業界や顧客のことを知っている自負はありますが、それでも開発、生産、物流、販売、マーケット、人事、総務、会計などと多岐にわたるお客さまの機能のすべてを把握できるはずはありません。したがって、課題に応じてその分野のエキスパートとタッグを組むことは必須。そのコラボレーションにおいてEYはたけていると、他社ファームに長く勤めた経験のある私から見てもそれは確かです。
さまざまな楽器の演奏者と共演するオーケストラの指揮者、あるいは名優たちと一つの作品を創り上げる舞台監督に近い感覚で、セクターの担当者はその人的ネットワークのハブとなり、社内外のさまざまな知恵やノウハウを引き出します。
理想を追いかけ、ともに支え合う「家族」のようなチーム
チームの体制づくり、運営方針についてお考えを聞かせてください。
消費財をテーマとしているためか、メンバーは圧倒的に女性が多いですね。そして、事業会社出身のコンサル未経験者も大勢いて活躍しています。社内全体の雰囲気はよく、距離感の近い風通しのいい職場ではないでしょうか。こうした文化を大切にする、家族のようなチームでありたいと私は考えています。例えば、子育て中などの人生のさまざまなステージにおいて、どうしても自由が利かないことはあります。そうしたときに互いの状況を思いやり、補完し合える関係でありたいと思うからです。
そのため、メンバー同士のタッチポイントをできるだけ多くつくれるよう、情報交換のためのミーティングを週に一度の頻度で行う他、全プロジェクトの進捗やアカウントの状況を確認し合う会議を毎月開き、その後は懇親会へと流れます。さらに半年に一度は合宿を兼ねた親睦会も。もちろん強制ではありませんが、生身の交流から生まれる絆はやはり強いと信じています。
メンバーを育成する仕掛けについてはいかがでしょう。
会社全体としての教育研修プログラムとは別に、プレゼンテーションのための資料やノウハウ、プロジェクト事例などの参考情報は全員が共有し、自学自習のツールとして、いつでもアクセスできるように環境を整えています。クライアントごとではなく、テーマごとに切り分けていますので、自分の仕事に照らして参照することができます。
また、そうしたアーカイブの整備をはじめ、若手メンバーの育成や人材採用、チームの予算管理など、さまざまな役割をマネージャークラスのメンバーに割り振って、責任を持って担当してもらえるようにしています。それが本人の成長にも資するだろうと考えていますので。
チーム紹介
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消費財・小売流通チーム
プロジェクト事例
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