エネルギー
Energy
大手商社におけるアジアでのデジタルビジネス拡大支援
近年、大手商社では資源・エネルギーだけでなく、成長領域としてデジタル業界への事業投資が活発です。
多くの商社がSI事業に投資し、関連する子会社を持っていますが、生成AIやグローバルのシェアード化が進む中で、新たな領域への拡大を模索しています。
当該クライアント企業もデジタル領域の新たな投資により、国内およびアジアでのビジネスを拡大させようとしており、クライアントの各事業領域におけるM&A、およびデジタル領域での支援実績があるEYがサポートすることとなりました。
また、ビジネス拡大の施策の1つに、アジアのシステムインテグレーター企業との資本提携があり、グローバルでシームレスに連携できるファームが望ましかったこともEYが支援するに至った背景の一つです。
EYの体制とそれぞれの役割
EYは当クライアントを複数年にわたって支援していましたが、前フェーズから期間が空いていたため、前フェーズのメンバーは既にリリースしており、新たに本件に対応できるメンバーをアサインしました。また、前フェーズでは日本チームのみのPJでしたが、今回の投資候補がアジアであったため、現地の情報が必要になると早々に判断し、以前から当該クライアントのアカウント担当だったシンガポールのチームに協力いただけるよう働きかけました。
前フェーズのメンバーから今回の日本メンバーとシンガポールメンバーにクイックにナレッジトランスファーをし、それでも完全でない部分は、中間報告などの節目で都度修正をしつつ、下記のような役割分担にて支援しました。
- EY Japanのサービス内容:クライアントの当該事業領域における成長ビジョン策定、SI事業のグローバルにおけるマーケット調査(市場推移、市場シェア、ビジネス展開のポイント、地域別魅力度評価、他)、協業パートナーとの資本スキーム案作成(出資割合、準備資金、他)、PMO
- EYシンガポールのサービス内容:現地企業の調査
クライアントに提供したEYならではの価値
複数年にわたるクライアントとのリレーションシップによりクライアントの要望を適切に把握し、EYが有するグローバルとのつながり・専門人材と協働することで一気通貫した支援を提供することができました。
- 今回の投資案件の2年前から、クライアントの競合のベンチマークとクライアントの該当部門の内部分析を実施しており、アカウントチームがクライアントの全体像や強みと弱みをよく理解していました。
- クライアントが資本提携を検討している企業について、EYのシンガポールチームが深いリレーションを持っており、クロスボーダーのチームとすることでスムーズに情報連携できました。
- アカウントチームのEY税理士法人のメンバーもアドバイザーとして参画し、スキーム案の整理において税務面での助言ができました。
- マーケット調査に参画したEYSCのStrategyのチームは、M&Aの実績を多数有するため、次フェーズへのスムーズな移行を想定しながら進めることができました。
- レポート提出後、クライアント内で投資の審議がなされ、その後の投資候補先との交渉やデューデリジェンスも一気通貫して提供できる点で、EYの強みが発揮されました。
プロジェクトにおける困難点
- クライアントと提携先候補企業が手を組むことで生まれるシナジー効果について、提携先候補企業は顧客基盤の拡大を期待していましたが、クライアントは加えて固有の領域における新しい強みの獲得を期待していました。そのため、システムインテグレーター業界の動向や他のプレーヤーの勢力図をより具体的に用意する必要がありました。
- EYシンガポールが実施する現地市場調査においてフォーカスしている内容が、必ずしもクライアントの知りたいポイントと合致しているいるわけではなかったため、日本チームにて迅速に軌道修正し、シームレスな連携をしました。そのおかげで最終的にはクライアントに満足いただけるレポートを作り上げることができました。
- 2年前からEYが支援している成長戦略をさらに一歩進める重要な局面であったため、クライアントからのEYに対する期待値が高かったのですが、参画メンバーは、フェーズごとに必要な専門性に応じて交代しているため、セクターメンバーやアカウントチームが過去の経緯をプロジェクトメンバーに共有し、交代によるオーバーヘッドをクライアントに感じさせないようにする必要がありました。緊張感がありましたが、その分のやりがいも大きかったです。