
プライベート・エクイティ
Private Equity
日本経済の復権を賭け
躍動するPE投資の世界へようこそ
グローバル市場に秘められた有望な成長株を発掘し、強力な資金と経営リソースによって企業価値を高めるプライベートエクイティ(PE)の世界。そこに君臨するPEファンドのベストパートナーとして唯一無二の力を発揮するEYSCのアドバイザリー。両者が織りなすダイナミックにして高度な企業トランスフォーメーションの物語の先に、日本の経済と社会の未来が見えてきます。PEユニットの清水石リーダーが展望を語ります。

存在価値を高めるPEファンドの強力なパートナーとして
プライベートエクイティ(PE)に関する案件が増えていると聞きました。どのような状況でしょうか。
PEファンドと呼ばれる投資会社の基本的なスキームは、成長が見込める企業や有望な事業を見いだして投資を行い、バリューを高めて売却することです。こうした投資会社はかつて獲物に群がるハゲタカのような存在として、映画などでは負のイメージで描かれる時期がありました。しかし、実像は違います。企業変革を促し、事業成長を先導するパートナーとして、米国では1990年代以前から、欧州でも2000年前後にはその存在価値が認められ、日本でもここ10年から数年ほどで急速に重要性が認知されるようになっています。
投資先に対する一過性の資金供給にとどまらず、経営陣の派遣を含むさまざまな経営資源を投入し、中長期の時間軸で成長戦略をサポートしながら企業変革を実現させる。それが本来的なPEファンドの役割です。世界を取り巻く地政学的リスクの高まりや、金利上昇、物価高騰などの経済事情によって不確実性が増す中で、国内外の多くの企業が大胆なポートフォリオの組み替えを含む事業再編や経営変革を余儀なくされています。資金面においてもオペレーションにおいても、またそれらを支える人的ネットワークにおいても、積年のノウハウとリソースを有するPEファンドの参画が必要とされているわけです。
そうしたPE市場において、EYはどのような役目を果たしていますか。
われわれのクライアントは大きく分けて2つ、PEファンドとその投資先となる企業です。PEファンドでは企業を投資対象とする、または買収する際、それに値するか否かを見極める必要があり、財務や税務の面からの精査が不可欠です。いわゆるデューデリジェンス(DD)ですが、EYのような会計・税務のノウハウ・ナレッジを持つファームがその支援に入るのがまずコアとなる役割の1つ。加えて、近年では業務プロセスなどのオペレーションや組織体制に対する調査、事業性や将来性について評価するビジネスDD、また最近特に重要性が増しているITインフラ関連のDDも手掛けております。
これら企業の実態を総合的に把握できるインサイトを持つという意味で、総合プロフェッショナルファームであるEYに対して、PEファンドや投資先が価値を認めているという関係性です。それは単にDDの役割だけでなく、買収・売却に伴う計画立案、交渉などを担うFA(Financial Advisor)としての役割や、契約成立後の統合プロセスに関与するPMI(Post Merger Integration)の業務についても言えることです。
もう1つ大切なことは、投資先の企業価値が確実に高まるよう、われわれEYの総力として、事業そのものの強化や新規事業開発、リスク管理、テクノロジー支援、人事組織の最適化といった、総合的なコンサルティングサービスについても一体に提供できるということです。これは他の大手ファームとは異なり、M&Aを含むトランザクション部門とビジネスを加速させるコンサルティング部門が同じ1つの組織内に共存するEYならではの利点と言っていいでしょう。

グローバルコネクティビティを武器に日本のPE投資を支援
PEファンドとEYが協業する案件として、どのようなケースがありますか。
日本においてPEの社会的評価を押し上げることになったここ数年の顕著な動きとして、複数の事業を抱える大企業がノンコア事業や子会社を切り離す際、PEファンドによる投資を活用するパターンが挙げられます。親会社は売却で得られたキャッシュを別の事業に投じて成長戦略を描くことができ、売却された事業・子会社ではPEファンドやわれわれの支援を受けて成長性を高め、再生への道が開けます。
東京証券取引所では上場会社に対して資本コストや株価を意識した経営を求めていて、PBR(株価純資産倍率)1倍割れの企業に改善圧力がかかるなど、不採算事業の整理は大企業にとって喫緊の課題です。また、東証によるコーポレートガバナンス・コードの改訂や市場区分の再編を受け、グループ内の利益相反や外部への利益流出を避けるために上場子会社の在り方 を見直す機運もあり、そこにPE投資が絡むケースが見られます。
最近の傾向の一つとして、アクティビストの提案により、事業ポートフォリオの見直しに迫られる事例や、事業承継における後継者の不在に悩む企業への支援策としてPEファンドやわれわれが介入する事例も増えてきました。
さらに言えば、欧米に比べて日本ではまだ本格的な動きはこれからですが、ESGに関連するデューデリジェンスやトランスフォーメーションへのニーズは今後確実に拡大していくでしょう。社会的課題の解決に向けて大きな投資効果を引き出すインパクトファンドが注目を集めていますし、一般の投資活動においても、投資先の企業がESG基準を満たしているかどうかが評価される時代になりました。PEファンドに資金を投じるLP投資家(リミテッド・パートナーシップ)の多くは概してESGへの意識が高く、LP投資家への責務を負うPEファンドとしても注視せざるを得ないのです。
そうした活動のパートナーとしてEYが選ばれる理由は何でしょう?
最たるものを挙げるとすれば、グローバル・コネクティビティでしょうか。投資・買収の対象は今、着実にグローバルに広がっています。それに伴いDD業務や変革支援にもまた、当然のようにグローバルリソースが求められています。他国の事業を精査するわけですから、その土地の文化やビジネス、法令に通じた現地チームに勝る担い手はいない。だからこそEYは国内チームと海外チームとの連携プレーにおいて、EYは強大な力を発揮します。
EYとともにBig 4と呼ばれる大手をはじめ、外資系ファームならどこでも「グローバル」は売り文句になるはずです。しかし、米国で生まれ育ち働いて、外資系にも長く勤めた私の目から見ても、EYのコネクティビティは別格です。言い換えれば、グローバルでワンファーム、他の外資系に見られる日本の独自性を重視するあまりサイロ化する弊害とは無縁の仕組みとカルチャーが根付いている。そのことに素直な驚きを私は感じました。
他にも過去の成長戦略により、EYは組織全体での変革と成長を遂げてきました。 例えば、人員数では、2025年1月時点では4,090名とここ数年で約5割増加しました。 こういった取り組みはサービス提供能力の向上だけでなく、企業文化や人材の多様性にも大きな影響を与えたと感じています。
私が見たところ、1つの顧客に対して最大価値を提供するためにユニットの垣根を越えて1つになる、だから必然的にコラボレーションが進む、EYとはそういう風土を持つ組織なのだと思います。先ほど申し上げた国内におけるトランザクションとコンサルティングの共存も、そこに由来していると考えています。
日本の企業、日本の経済、日本の社会を強くする
清水石さんにとって、PEファンドをサポートすることの醍醐味(だいごみ)とは?
日本のマーケットでは今後ますます企業変革や事業再編が活発化していくと見ています。私が日本に来たのは2005年ですが、それからの20年間、金融危機や東日本大震災などを経て海外への人材流出も進む中、一度は深くまで沈みかけた日本経済が、ようやく今、息を吹き返しつつある好機を迎えています。アジアで最も魅力あるマーケットとして世界の投資家の目が集まる状況下で、PEファンドと手を組んで日本の企業に活力を取り戻し、グローバルで戦える強さをもたらしたい。そのプロセスを先導できることに大きな魅力を感じています。
EYには「Building a better working world ~より良い社会の構築を目指して」というグローバルに共通するパーパス(存在意義)があります。これを起点にわれわれの使命を顧みれば、単にクライアントの利益の最大化に終わるものでなく、その先にある経済の発展、ひいては社会の安寧にもつながることになるのではないでしょうか。
実は私が活動の舞台としてEYを選んだ理由の一つもここにあります。日本市場ではまだEYの立場は主流ではなく、PEのサービス体制も他の大手に比べて十分とは言えません。反面、パーパスに基づく確固たる理念があり、どこよりも強いグローバルのプラットフォームがある。この基盤を生かして、サービスを拡大し、人員を拡充し、ビジネスとして成長させることで日本社会に貢献する。それが私のミッションです。