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パラアスリートインタビュー:多様性からつながる宇宙への夢
富田 宇宙
高校2年で視力を失っていく病が発覚、徐々に視力を失い、現在はパラ競泳選手として活躍する富田。東京2020パラリンピック競技大会(以下東京2020大会)では3つのメダルを獲得し、日本中に感動と勇気を与えてくれました。多様で豊かな社会に向け、障害のある人の可能性を伝えるために泳ぎ続けるという富田の哲学と、EYが掲げるパーパス(存在意義)「Building a better working world(より良い社会の構築を目指して)」が熱く呼応します。
東京2020大会で実感したEYの仲間との絆
──東京2020大会でのご活躍、おめでとうございます。今回の大会を、どのように振り返っていますか。
ありがとうございます。パラリンピックという大きな舞台に参加したのは、僕は今回が初めてです。しかも自国開催だったので、社会への影響力など、パラリンピックがもつ力をすごく感じた大会でした。社会に少しでもポジティブな影響を残せたとしたら、本当によかったと思います。
──富田さんの試合を観た方たちの反響は、かなり大きかったようですね。ご自身は、大会の前後で心境の変化などありましたか。
反響という点では、泳ぐたびに、「すごく勇気をもらった」とか「自分まで元気になった」とか、たくさんのメッセージをいただき、これまで自分がやってきたことに多少でも意味があったかなと、うれしく思いました。
一方で、「メダリスト=成功者」「誰もが成功者を目指して努力すべき」といった、暗黙のロジックのようなものも強く感じました。自分の成長や、周囲にエネルギーを届けることに意味があると思ってパラ競泳を続けてきましたから、サクセスストーリーの主人公のように語られることには、ちょっととまどいがありましたね。
──入社されたのは2015年ですが、EYを選んだ理由を教えてください。
僕にはまず、障害のある人々の可能性について理解してもらいたい、という強い気持ちがあり、その手段としてパラ競泳に取り組んできました。パラリンピックに出られるかどうかに関わらず、日々の成長や挑戦を発信していくことに意義があると考えていたわけです。
そんなときに、EYからお声かけをいただいたのですが、一般的に、企業がアスリートを雇用する場合、会社の宣伝としての一面を期待しますよね。EYでも当然、パラリンピック出場やメダル獲得といった、実績が求められるだろうなと、身構えていました。ところがお話をしてみると、「いや、パラリンピックに出るか出ないかなんて、考えなくていいですよ」と言われまして。EYは他の企業とは、ちょっと違うベクトルを持っているんだなと思いました。
考えてみると、それがEYのパーパスの、「Building a better working world」に通じるんですね。「富田さんの一生懸命な姿は、社内のモチベーションアップや、社会の変化につながります。あなたの活動が、パーパス実現の一助になればそれでいい。競技を続けるお手伝いができて、私たちもうれしいです」と言ってくださった。ここでならきっと、目指すものを共有できると思いました。
──入社してみて気づいたことや、社員との交流で得たものはありますか。
社内のグローバル化が進み、社風もグローバルスタンダードに近づいている印象があります。パラアスリートに対するメンバーのみなさんの関心も、確実に大きくなっています。多くの社員の方は、僕が泳ぐところを今度のパラリンピックで初めて見たわけですが、本当に熱心に応援してくださいました。自分はEYの仲間と一緒に頑張っているんだと改めて思いましたし、みなさんも応援を通じて、一体感をかみしめたのではないでしょうか。
パラスポーツが教えてくれたDE&I
──公式サイトのなかで、「多様性はイノベーションを生む」とおっしゃっていますね。
多様性、公正、包括性という、DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルーシブネス)が当たり前の社会では、いろんな人の「スタンダード」が融合することで、まったく新しい視点をもつことができます。僕はパラスポーツの世界で、多様な障害のある人たちと出会い、一緒にトレーニングや合宿をしてきましたが、そこではいろいろと面白い発見がありました。
例えば僕は目が見えないので、足に障害がある仲間の車いすの背につかまって、歩いたりします。僕が当たり前に車いすを押すと、車いすの彼も、当たり前に僕をナビゲートしてくれる。そういう自然な協力が、スッと成立するわけです。
またあるとき、仲間とご飯を食べていたら、僕が見えないのをいいことに、みんながこっそり、僕のお皿にワサビを盛ったんです。世間の人が見たら、ひどいことだと責められかねませんが、僕を含めて、みんなのいたずらを心から面白がって遊んでた。そういうお互いに寛容になって楽しめる感覚というか、価値観が広く理解されるようになれば、みんなあまり構えずに、障害のある人を受け入れられるし、世の中だってもっと面白くなりますよ。まさに、Building a better working worldですよね。
──EYもDE&Iに取り組んでいますが、どんな印象をお持ちですか。
女性の活躍、パラアスリートの雇用、LGBT+とアライ(支援者)の社内ネットワーク活動など、DE&Iは社内のいろいろな場面で進んでいます。それを見ていると、DE&Iでも世界をリードするんだという、EYという会社の使命感や誇りを感じます。僕もそのメンバーのひとりとして貢献し、パラアスリートの立場から社会にも発信していきたい。そういう自分の思いと、会社の思いの相乗効果を、最大限に発揮したいという気持ちが、自分のなかでも強くなっています。
「宇宙」への夢もあきらめない
──より良い社会の実現に向けて、今後、挑戦していきたいことは何ですか。
一番は、スポーツ選手として常に自分を更新し、障害のある人間の可能性を世の中に示すことです。「この人は目が見えないけれど、自分にはできない、こんなすごいことができるんだな」とか、「この人は身体が不自由だけど、すごく尊敬できる人だな」とか、そういった気づきがみんなの考え方を変え、偏見や差別をなくしていくからです。
もちろん世の中には、スポーツに興味がない人もたくさんいますから、スポーツ以外の発信も必要です。実は僕、ダンスもやっているんですが、エンターテインメントの世界にも、障害のある人が進出すれば、より広く、しかも楽しい形で、気づきの機会を提供できるかもしれません。
──夢の実現に向けて、EYのメンバーだからこそ、できることはありますか。
今、大分県では大分空港を「宇宙港」として、人工衛星打ち上げの拠点にする構想が進んでいます。その官民連携をEYもサポートしていて、僕も宇宙ビジネスに関する記事を書くなど、一緒に活動させてもらっています。
実は障害を負う前、僕には宇宙飛行士になるという夢がありました。自分の名前と同じ、「宇宙」への憧れです。EYが目指す多様性ある社会では、障害や特性を問わず、誰でも希望する道を自由に進めるのが理想です。そしてヨーロッパではすでに、障害のある宇宙飛行士の募集も始まっていて、望めば誰もが宇宙に行ける時代が本当に近づいている。「目が見えないので、宇宙への夢はあきらめました」なんて言ってはいられません。僕も先日、視覚に障害のある人が無重力空間に行くとどういうことが起きるのかという、無重力飛行実験を実施し、SNSに動画をアップしました。新聞などメディアでも取り上げていただき、宇宙での多様性というテーマで、社会に一石投じられたのではと手ごたえを感じています。
──ワクワクしますね。では最後に、これから就職を考えているみなさんに、富田さんが思うEYの魅力をお聞かせください。
EYは、常に世界とつながっている、視野の広い会社だと思います。コンサルタントの方たちはもちろん、人事や広報やその他の部署の方たちもプロ意識が高いので、プロフェッショナルの中で自分のスキルを生かして挑戦したい人には、すごくやりがいがある職場です。そして会社全体としては、パーパスもDE&Iもお題目に終わらせず、しっかりと実践して最先端を歩いています。同じ方向を目指す僕にとって、これは大きな魅力ですし、そんなファームのメンバーであることを誇らしく思います。
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